広島県産の広葉樹の活用の一環で神石高原町産の欅を製材しました。

広島県産の広葉樹の活用の一環で神石高原町産の欅を製材しました。

 

先日、神石高原町にある「佐々木林業」さんへ工場見学へ行ってきました。
佐々木林業さんは神石高原町で林業を営んでおられ、主に地元工務店やハウスメーカーの構造材を製材するお仕事と、丸太を粉砕してチップにして紙になる原料を作られております。チップは大手製紙会社に引き取られ、私たちが使う紙になります!すごいですね!

 

土井木工は2018年より、地元広島の針葉樹の檜材を使った家具の取り組みをしていますが、地元の広葉樹にもチャレンジしたく、広葉樹も扱われる佐々木林業さんへお伺いしました。

紙になるチップの原木は檜や杉の針葉樹ではなく、クヌギやコナラ材などの広葉樹が使われるようです。

建築の構造材だけ扱う製材所さんだと針葉樹だけなので広葉樹も扱われる製材所さんは珍しいのです!

 

 

ただ、中国地方のコナラやクヌギなどの広葉樹は丸太が小さい樹種ですので、なかなか家具には使えません。

中国地方も大きい広葉樹はないのですか?とお尋ねして、たくさんの丸太がある中、欅をまとめてある所へ案内いただきました。

 

そして見た瞬間にオーラを放つ欅を発見!俺を斬ってくれ!と言わんばかりの覇王色!

この丸太、買い手がなければ粉砕してチップになるということでしたので、すぐ製材させてほしい!

 

ということで後日お伺いして製材していただきました!

丸太を伐採してから3年ほど経っている丸太ですので水分もほどよく抜けていると思います。

 

 

丸太を製材所へ移動してもらいました。

横にすると小口が直径50cmから60cmで長さが3m20cmある丸太でした。

左が佐々木林業社長の佐々木さんです。

 

丸太はちょっと曲がっていますが、木の根元の方で枝もないので、節もなく綺麗な板が製材ができると思いました。

 

 

 

ここから工場長にバトンタッチ!まずは丸太の形を整えます。製材する際に出っ張りが気になられたようです。

チェンソーでカットして長さを測り、製材機にピッタリのちょうどのサイズにしました。

 

 

 

フォークリフトで移動して台にセットします。

動画などはインスタグラムにアップしていますのでご覧ください→ instgram @doi.furniture.mfg.ltd

 

 

工場長と一緒に小口を見てどの面から切っていくか確認しました。55mmの厚みで切っていきます。

そしていよいよケヤキ入刀です!緊張しますね!

さてどんな木目が現れるか!?

 

 

 

あ、腐って黒ずんでね?

バタンと一枚目が落ちた時誰もが思いました。こりゃダメかーorz

自然の厳しさを目の当たりにする瞬間でした。

しかしながらケヤキ入刀は容赦無く続きます。

 

 

2枚目はどうか!?

 

 

おー!中の方は綺麗じゃないか!?

不安から一転、希望が見えてきました。

 

 

 

3枚目、4枚目はとても綺麗な木目が出てきました!節もなく素晴らしいです!

 

 

5枚目、6枚目は中心に近づいてきたので節や割れが増えてきました。

 

 

仕上がりました!

全部で10回切りましたが、使えそうなのは6枚ほどです!

 

 

フォークリフトで移動して並べてみました。

 

 

 

とても綺麗です。

ご覧の通り欅は白太(外側の白い部分)が柔らかく腐りやすいので赤い部分だけ使います。

二枚使ってブックマッチのテーブルを作ったり、綺麗な板目が出てるので贅沢に「AUTHENTICITY」のソファBⅡのアームの筍木にしてみたり。

いろいろなレシピが浮かんできます。

 

 

しかしながらすぐにこの板は使えません。

これから乾燥しなければならないのです。

触った感じまだ含水率が25%から30%近くある気がしました。

家具には含水率を一度10%以下にしなければなりません。

含水率が10%以上の木で家具を作ると、割れたり反ったりしてきます。

 

最近一枚板を専門に扱っている業者でも、自然のものだから割れたり反ったりしますよ。と平気で言ってきますが違います。

しっかりと乾燥させることが重要です。

 

最近はどの材料(針葉樹の檜も、アメリカ産の広葉樹のウォルナットも)も人工乾燥機で乾燥させています。

アメリカは広葉樹の乾燥設備がかなり進んでいるのですが、日本の人工乾燥機はほとんど針葉樹用に作られていて、広葉樹専門の人工乾燥機はあまりありません。

しかも広葉樹は針葉樹より、低い温度で長く人工乾燥させないといけないので、その分乾燥機の占有時間が長く、費用もそれだけ 多くかかってしまい、その分、家具の値段に反映され高くなってしまいます。

また針葉樹の乾燥機で広葉樹を急激に(針葉樹と同じような温度と時間)乾燥させると、ハニカムと呼ばれる割れ(表面には割れがないが中身が割れている現象)が発生してしますので注意が必要です。

このハニカムがなかなかいやらしく、製品にしても割れが出ないので、家具にして家で使って乾燥してくると中から割れが発生してしまいます。

 

 

そんなことから、今回の欅は、風通しの良い日陰に保管し、昔ながらの天然乾燥をさせる方法を取りました。

素敵なテーブルを作るのが楽しみです。

 

佐々木林業さんは上質な薪も販売されています。

ぜひみなさん神石にお越しの際は佐々木林業さんにお立ちよりください!

 

佐々木林業さんの薪の情報→ https://sasaki-ringyo.co.jp/product

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